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高野山 金剛峯寺の中門について。歴史や四天王像、再建築など徹底解説!

和歌山県 伊都郡高野町高野山132

高野山 金剛峯寺の中門について。歴史や四天王像、再建築など徹底解説!

高野山 金剛峯寺の中門について解説しています。歴史や四天王像、再建築事業などについても調査して説明。

情報や感想

弘法大師 空海が高野山をご開創された折、真っ先に整備へ着手した場所である壇上伽藍。
高野山全体を金剛峯寺の境内としてみたとき、壇上伽藍はその核と言えます。
その壇上伽藍を聖域として守護しているのが中門です。

朱色の楼門を持国天(じこくてん)像・多聞天(たもんてん)像・増長天(ぞうちょうてん)像と広目天(こうもくてん)像の四天王が守護しています。

中門の歴史について

819年の創建と伝えられており、初期のころの中門は鳥居のような形式をしていたと考えられており、その後空海の弟子にあたる実恵によって、847年に金堂前に建てられたといわれています。

江戸時代の歴史的書物である紀伊続風土記には、古くは金堂の石段の上に中門はあったとされ、三間一階の門であったことが記されているそうですが、平安時代における中門の資料はあまり多くないそうです。

江戸時代には3回焼失したことが知られており、1843年に西塔のみを残し、他の堂塔を焼き払ったという記録に残されている大火災で中門も焼失しそれ以来基礎石を残すのみでしたが、平成27年(2015年)の高野山開創1200年記念大法会の特別事業として、172年ぶりに8代目の門が再建されました。

中門の再建築について

172年間基礎石が地面に残るだけとなった中門ですが、それでも高野山の修行の中には僧が金堂正面から南側の中門礎石に向かって焼失した持国天と多聞天の真言(マントラ)を唱える参拝が含まれていたそう。
やはり修行僧の方々にとっては中門は大切な存在であり続けていたようです。

そんな中高野山開創1200年記念大法会の特別事業として中門の再建築を担当したのは大林組。
再建は伝統にのっとった工法で行うことを方針としたそうで、材料もできる限り自然由来のものを使用。木材は高野山中で育てられた「高野霊木」を使用。

特に柱のひかり付けという「光も漏れないほどに素材同士を密着させる」という作業は特筆すべき工程。
全18本の柱が置かれるのは自然石なので、その表面の凹凸に合わせて柱底部を削る作業を繰り返し、接合面をぴったりと密着させてできた精巧なかみ合わせと、上部から加わる構造物の重みで柱が安定するという伝統の技。
このひかり付けにはは50日もの日数がかかったそう。

焼失していた広目天と増長天の仏像の新造

中門の再建築に合わせ、焼失していた広目天と増長天の仏像も新造されました。
制作したのは現代の大仏師・松本明慶(みょうけい)さん。
松本さんは慶派と呼ばれる平安時代からの流れを汲む仏師の一派で、迫力のある作品が特徴です。
慶派の中で最も有名な作品としては東大寺金剛力士像が挙げられます。

松本さんが作成した広目天の胸にはセミの、増長天にはトンボの意匠があしらわれています。
これは今までの仏像にはなかったものです。

広目天は広く見渡すのが役目であり、どこまでも届くセミの鳴き声によって威嚇感と全てを見ているという表現を。
増長天は槍を持ち邪悪から守ることが役割なので、前にしか飛ばないトンボによって後ろに退かないという意思を表現されたそう。

四天王の足元には邪鬼という異獣が。
邪気とは人間に悪さをする鬼のことで、四天王像や仁王像に踏みつけられていることが多いです。

邪気はこれまで様々な姿や表情で作られてきたもので、バリエーションが豊富なある意味面白い存在です。
柵があり見づらいですが、少し注目してみてあげてください。

参考:かわいすぎる!邪気(じゃき) 外部サイトへ

まとめ

高野山の中門には様々な思いや歴史があることが分かりました。
新たに作られた物と古くから残る物がかけ合わさって今の中門となっていると思うと、現代に生きる私たちにしか感じられないものがあるような気がします。

高野山に訪れる方のおおよそが中門を通るのではないかと思いますが、このような歴史や思いが脈々と受け継がれていると感じながら訪れると、高野山観光がより楽しいものになるのではないでしょうか。


出典・参考

https://www.koyasan.or.jp/meguru/sights.html
https://www.obayashi.co.jp/thinking/detail/project19.html
https://www.sankei.com/article/20150402-QATZCMOWZFJV5B4O3F4ZGB5TCE/
https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/196868/
https://www.nikkei.com/article/DGXLASHC03H7Q_T00C15A4AA1P00/

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